呪鬼会の実態に迫る

呪鬼会への取材

呪鬼会へのアプローチ

日本呪術研究呪鬼会の歴史は長くサイトによると1930年代には初代開祖が活動を始められていたそうです。その後、日中戦争などへの徴兵もあり、人類の生と死、強欲と愛欲、を目にあたりにし、より深い呪いへの研究を続け現在までに様々な呪いの指南と相談を続けているそうです。 ここでは呪術師志望の人への指南と、呪いにかけられたかもしれない除霊相談、呪い返しの相談、そして希望者への呪い代行の依頼受付まで、主にサイトを通じて相談を受けています。霊視、除霊、呪い代行、呪い返し、呪術師指南と手広く呪い一般の活動をされている呪鬼会に取材を申し込みましたが、最初は断れました。

断られたというと角が立ちますが、興味本位でこういう世界に立ち入るのはおすすめしない、ということで、私の今までの生い立ちとなぜ呪鬼会を取材したいのかを隅々まで説明することでまずは書面での取材ならとう条件をいただくことができました。 私が送った質問は主に呪い全般の事でした。それに対しての答えも一般的な範疇を超えることはなく、私に取って目新しいことはなく少々不満の残るものでした。もう少し深くお話をお聞かせいただきたい、私は代表の宗像氏への取材依頼を送りました。 数日後、呪鬼会の広報担当の方から返事があり、代表への取材は初見の方はお断りしている、とのこと。想像していた通りではありましたが残念で仕方がありません。

それでは誰か呪術師の先生をご紹介していただきたい、そう申し伝えたところ、呪術師は普段は普通の生活をして世に紛れているため、身分を明かすことを何よりも恐れている、時には呪術師同士その術を奪い合うほどのことがあるため、身分がわかれば呪いをかけあうこと、実際に身体的に襲われることもある、そのために呪鬼会という会が呪術師に代わって呪い代行の依頼や相談を受け付けているため、その点ご了承いただきたい、ということだった。 呪術師の世界において、その呪術とは一生をかけて修めるまさに一子相伝以上の、一子でとどまるものが多いそうだ。私はますます呪鬼会の世界へと入り込むことになる。

呪鬼会入会と講習会参加

私はすっかりと呪鬼会の魅力にほだされていた。今から考えると呪いを学ぶ以上にもっとこの会の活動のことが知りたい、そう思うようになった。 何度か広報の方とやり取りをしていくうちに、呪鬼会の定期講習会への参加をすすめられた。参加してもいいのでしょうか、私は疑問を投げかけた。参加には厳しい条件と入会が必要ですが、条件をクリアーされたと認めらたなら参加は可能とのこと。

私はさっそく講習会への参加と入会希望を申し出た。数か月後、何度か書類と面談のやり取りの後、私の入会は認められることなりました。具体的なやり取りは厳重に禁じられているためここでは割愛します。 入会希望からおよそ半年ほどでしょうか、ようやく私の講習会への参加が認められました。私が参加した講習会者入会初心者へのガイダンスのようなもの、数年に一度しか行われないため、入会した後もこの講習会を数年に渡って待つ人も多い中、半年で参加できた私はまさに幸運といえるでしょう。 都内のとある会議室でした。

集まった人数は10名ほど、見た感じ皆普通の社会人といった風体で年齢も20代から上は50代ほどの方もいたように思います。開始時間の一時間ほど前に着いた私でしたが周りの人と会話を楽しめるような雰囲気でもなく、誰もが水を打ったように静かにその時を待っていました。もしかすると今日、代表の宗像氏が来るのだろうか、そう心を躍らせながら。 開始時間になり、一人の男性が入ってきました。

異形なことに男性は能面を付けており、ハシモトと名乗りました、恐らくは偽名でしょう。 男性は小さな声で、それでいて芯の通った声で私たちに呪鬼会の沿革から会の活動についての説明をしてくれました。 簡単なガイダンスの後、待ちに待った質疑応答の時間があり私は食って掛かるかのように今までの疑問をぶつけようとしました。その際に、ハシモト氏は手で私を遮り、こういいました。「あなたのことはうかがっています。こちらにどうぞ。」と。

質疑応答の前に私はハシモト氏と個人的に質問をさせてもらえるようになったのです。

呪鬼会会員に話を聞けた

結論から言うとハシモト氏は呪術師ではなかった。私と同じく呪鬼会の会員であるが、長くその活動に参加することからこうして講習会や相談、団体の事務手続きなどをまかされる会員の中でより高い位置の会員であるということだった。 ハシモト氏も元は呪鬼会へ呪い代行を依頼したことがある依頼者の一人でその効果のすごさに呪いの力に魅了され、呪術師になりたい、と仕事をやめ呪鬼会の門をたたいたそうだ。

しかし残念ながら呪術師しての素質がなかったのか、今は呪術師ではなく会員の一人として呪鬼会を支えているそうだ。 

ハシモト氏:今日はわざわざご苦労様でした。あなたもこれで呪鬼会の会員として呪いを学ぶ立場ですね。私たちはいわば同じ一門の門弟です。年齢や職業は違いますが人生の大きな目標のため切磋琢磨していきたいですね。

私:呪鬼会の呪術師はどのような方なのでしょうか。

ハシモト氏:そうですね。私は呪術師として認められなかったので呪術師は羨望の的でしかありません。これは私の考えとは違いますが、呪鬼会では呪術師は誰にでもなることができる、という考えがあります。なぜならば呪いをかけるとは、特別な能力や資質がいるわけではなく、一心にその身をささげることができるか、その願いのために命を落とすことができるのかという、覚悟の問題であるという考えだからです。ただ、それは言うに易し、行うに難しではないでしょうか。死ぬなんて怖くない、という人をたくさん見てきました。しかしそういう人こそ本当の呪術の前には腰を抜かして命乞いをするものです。私のもう言う側の人間なのですが。

私:では、私も呪鬼会の呪術師になることが可能でしょうか。

ハシモト氏:なれるかなれないかでいえば、なれるでしょう。言ったように自分の命を依頼者の呪いのために使うことができる覚悟が本当にあるのなら、明日にでも依頼を受けることは可能でしょうね。ただ呪鬼会では効果を重視しています。効果の出せない呪術師など存在の価値がないことはお分かりいただけるでしょう。私たちは完全に実力の世界で呪術を支配しています。 なので、仮に呪鬼会の呪術師となれたとして、その依頼が効果を出せないと分かった時点であなたへの依頼は二度と来ることはないでしょう。

私:あなたも呪術師として呪い代行の依頼を受けたことがあるのでしょうか。

ハシモト氏:・・・・(無言)それは想像にお任せしたいですね。私たちは依頼や呪術に関しては特に秘密にしています。あなたとのお付き合いがもっと深くなればお話もできるかもしれません。ご了承ください。 

わからない世界がそこにはあった

私はハシモト氏の能面から見える目の鋭さに言葉を失いました。この人は呪術師として認められなかったのかもしれない。でも命を捨ててでも呪いをかけてやろうと決意をした、視線を潜ってきた人物なのだ、と。私のようなまだまだこの世に未練がたらたらある凡人には見えない世界で生きているのだろうと、そう感じたのです。 ハシモト氏をはじめとする会員や呪術師はお互いに能面などで顔を隠し、お互いの身分を明かすことなく会を運営しており、会のすべてを知ることはほぼ不可能であるとのことでした。

長年呪いという裏の世界で活動を続けている呪鬼会には多くの敵もいるのだそうで、会員になった後は細心の注意をもって日々暮らしているとのことでした。ハシモト氏も普段は普通の会社員として生活をし、特別な事情の時にだけ会員として会の活動に参加をするとのことでした。

私のように取材依頼も多数寄せられているそうですが、取材を受けられるかどうかはその時次第とのことでした。